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グリーフケアに関する本の紹介
茎津智子の研究紹介 > 取り組んでいる研究 > 平成22~24(2010~2012)身近な人と死別した子どもへのグリーフケアとその評価(本研究はJSPS科研費22592512の助成を受けたものである)

平成22~24(2010~2012)身近な人と死別した子どもへのグリーフケアとその評価(本研究はJSPS科研費22592512の助成を受けたものである)

報告内容

2010年度からの主な活動は、臨床現場をフィールドとし実施していくためには、臨床現場の協力や理解を図ることが優先課題と考え、緩和ケア、成人系病棟及び小児病棟の看護師らを対象に子どもへのグリーフケアに関する研修会を実施した(2010年9月、2011年1月)。
研修会は、2か所の病院で実施し28名の参加者(内訳看護師25名、MSW2名、保育士1名、成人系病棟勤務看護師13名、小児病棟勤務看護師12名)があった。
講義のテーマは、「子どもの認知発達と死の理解、喪失へのケア」とし、子どもの発達段階と死などの理解や反応に関する基本的な内容に絞った。
研修会後の参加者アンケート結果では、身近な人と死別しなければならない子どもとの関わりを体験している者17名、そのうち関わりに難しさ、困難を感じた者12名であった。
その内容は、話す必要があると感じながらも子どもと死を話すことの戸惑いや何をどのように話してよいのかわからないといったものであった。講義内容には、関心が高く子どもの発達段階と死の理解や反応に関する基本を知り、子どもを理解する上での参考になったようであった。また、子どもと向き合うことや避けてはいけないこと、子どもにとっても死はタブーでないこと、別れのプロセスを大事にすること、子どもの力を信じることといった内容が印象として残ったようであった。
これらの結果から小児病棟や成人系で勤務する看護師を問わず、子どもと死の問題を語ることに戸惑いや構えをもっていることが明らかになり、子どもへの支援を考えていく上での臨床現場への子どものグリーフケアへの啓発活動を続けながら協力して検討進める必要性が明らかになった。
また、小学3・4年生を対象とした「死ぬこと、生きることの意味を考えよう」のテーマで授業を1回実施した(2010年11月)。子どもたちが死の問題をどのように考えているかを理解する機会となった。

研究成果の発表

学会発表
1.Kikuko Iwamoto, Etsuko Kudo, Tomoko Kukitsu et.al, Exploring How Death Is Discussed with Children In Japan, ADEC 33th Annual Conference, 2011.June.Miami.
2.茎津智子他、大切な人と死別する子どもへの関わりに対する看護職の意識,第17回日本臨床死生学会大会,2011.9月.神戸

 

大切な人と死別する子どもへの関わりに対する看護職の意識

 

○茎津智子、工藤悦子、岩本喜久子、井上由紀子
1天使大学看護栄養学部、2札幌医科大学寄附講座緩和医療学、3北海道文教大学人間科学

はじめに

子どもが親など大切な人と死別することは、臨床現場でも決して少なくない。しかし、家族の一人として誰かを失うことになる子どもへの関わりの大切さは近年いわれてきているが、臨床現場での子どもへのケアの取り組みはなかなか進んでいない。
今回、臨床現場の看護職を対象に子どもの死の理解や大切な人と死別しなければならない子どもへのケアに関して話をする機会があり、そこに参加した看護職等の子どもの死の理解や死別する子どもへの関わりと講話についてのアンケートからその実態と課題を考察する。

対象・方法

2010年9月及び2011年1月に2か所の病院で主に看護職を対象に「子どもの死の理解や大切な人と死別しなければならない子どもへのケア」に関する研修会を実施し、参加者28名のアンケート内容を整理した。
分析は、記述された内容を質的帰納的方法により意味内容から分析を行った。
倫理的配慮としてアンケートへの協力について、個人が特定されることがないことなどを口頭で説明し同意を得た。

結果・考察

参加者28名の内訳は、看護師25名(成人系病棟勤務看護師12名、小児病棟勤務看護師13名)、MSW2名、保育士1名であった。
研修会後のアンケート結果では、参加者の中で身近な人と死別する子どもとの関わりを体験している者16名(57.1%)、その中で関わりに難しさ、戸惑いを感じている者12名(75%)であった。
難しさや戸惑いの内容は、話す必要があると感じながらも子どもと死について話すことに構えがある、何をどのように話してよいのかわからない、子どもと話すことを避けがちになるという回答がほとんどであった。
講話を通して子どもの発達段階による死の理解や反応に関することを学ぶ機会になったこと、またそれらが子どもを理解し、関わる上での参考になったという回答が多く、子どもと死の問題を考える機会がないこと、また、子どもを特別視していたが、同じ目線で考えてよいこと、子どもと向き合うことを避けてはいけないこと、隠さずきちんと向き合いたい、はぐらかしてはいけないということにはっとさせられた、子どもにとっても死はタブーでないこと、別れのプロセスを大事にすること、子どもの持っている力を信じることといった内容に関するものが多かった。
これらの結果は、ふだんから子どもを対象とした看護をしている、していないに関わらず、子どもの発達段階と死の理解に関すること、また、子どもと死の問題を話すということの意味などを考える機会を持つことの必要性が明らかになった。
遺族となる子どもへのケアのためには、看護職など医療者自身が子どもと死を語ることへのあり方も重要といえる。